紅蓮の竜と独眼鬼の続き小説!一応完結してます!

紅蓮の竜と独眼鬼2

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――― 蜜月 ――――

****
その牢に、唯一設けられた簡素な窓から差し込む月灯りが、絡み合う二人の淫靡な姿を照らしている。
あの日、初めて二人が唇を重ねた夜以来、政宗は昼、夜問わず頻繁に地下牢を訪なうようになった。
唾液のやり取りによる卑猥な音と二人の熱いかすれた吐息が、この仄暗く狭い空間に響き、
幸村の耳に一層の羞恥を誘う。

「……まさ…むねッ…殿っ…」
一瞬途切れた愛撫(幸村にとっては食事なのだが)の隙をつき、幸村は男の名を呼んだ。
「……Ah~?……なんだよ?」
唇を幸村の掌で押さえつけられ、明らかに拒絶の態度を取るその鬼に苛立ちを覚えながらも、
政宗は尚も顔を近付けようとする。

「某…もう満腹に…ござるッ…むしろ…こう毎夜頂いていては…消化不良を起こしそうで…
 それに…政宗殿のお体のことも気掛かりにござる…某加減を知らぬゆえ…必要以上に吸うておるやも…」
幸村は本音が先に出るタイプであった。

「…俺が欲しいと言っただろう?欲しがったり突き放したり、勝手だなアンタ」
「…だからッ…もう十分だと云うておるのであって…」
「人間だって、一日三食は食うぜ」
「鬼と人を一緒にしないでくだされ!…それに貴殿の気は殊更強力なので腹持ちも良いのでござる」

しばらく膠着状態が続いた。
幸村はキッと政宗を見つめたままだ。
この鬼、顔は間違いなく整っており美形、なお且つ、今は先ほどの情事の名残から、
紅く染まった頬、潤んだ瞳、濡れた唇、というオプションがついている。
そんな状態で見つめられて理性を保てる男が果たしてこの日ノ本にいるのだろうか。

政宗は、一つ溜息をつき、自分の唇を覆っていた幸村の白い指をゆっくり外す。
そして警戒させないように、ふわりと幸村の体を抱きしめる。幸村は腕の中で大人しくしているようだ。
「…」
「…政宗殿?」
腕の力を少し強め、幸村の耳元で囁く。
「俺がまだ足りねェんだ」
「…?」
「…なんでもねェよ」
この鬼は本当に鈍いな。政宗はもどかしさと苛立たしさと愛しさと、様々な想いを秘めながら、
しばらくは幸村の頭や顔にキスを降らせたり、正面から背中側に回した手で後ろ髪を手櫛で梳いたりしながら愛しんでいた。
幸村はされるがままとなってはいるが、はて、この時間は一体何なのだろう、とぼんやり考えている。

そんな中、政宗が口を開く。
「…なァ…別にコレは精気を吸うだけの行為ってわけでもないよな」
「?」
「精気を吸わなくても…こういうこと出来るのか?って聞いてんだ」
コレ、とか、こういうこと、とか、随分歯切れの悪い言葉を使われるのだな、と幸村は不思議に思いながらも、
口吸いのことだろうか、と考えが至り、純粋に思ったことをそのまま返す。
「…はぁ…それはもちろん可能にござるが…」

「無意味にござる」
「食事以外で人間と口吸いを行うことに、何の意味がござろうか」

「…ピクッ」
そうきっぱりと言い切った幸村の言葉に、政宗のコメカミがひくつく。

「…なんだァ?アンタ…まるで初めてじゃないみてぇな言い方するんだな」
「…? 口吸いのことにござるか? 無論、初めてなどではないが……何か問題が?」

「…ピキピキッ」
幸村は自分の顔の真横にあった政宗の横顔に、うっすら血管が浮き上がるのを見た。
今の今まで、(本人にとっては)清廉な心で保ってきたはずの政宗の理性が、
腹の底から湧く煮え滾るような怒りにより、ぶっ飛んだことを表している。

政宗はそれまで優しく抱きしめていた幸村の体を荒々しく地面に倒し付け、自分はそれに跨り彼の自由を奪う。

「…アンタそんな無垢なフリして、今までどれだけの男誑かしてきたんだよ。そいつらと俺を比べてんのか?」
普通の者がこのセリフを聞くと、なんと女々しいことを言う男だ、と呆れるかもしれないが、
政宗の人並み外れた美しさ雄々しさに加え、その鋭く切れ長の隻眼に侮蔑の目で見下されると、その迫力も一層凄みを増し、
幸村はぞくりと体を震わせた。心底恐怖を感じている自分に気付く。
逃げなければ、と脳が警鐘を鳴らしているが、体はしっかり地面に縫い付けられており身動きが出来ない。

「……は?…何を…」
政宗の言っている言葉の意味は、幸村の頭にはまったく届いていなかった。

噛みつくような口吸いをされる。先ほどまでの思いやりのある行為でなく、ただ奪うだけの行為。
「…ッふ」
息付く間も与えず、政宗は幸村の口内を嬲り続ける。
乱暴に探る政宗の舌は幸村のそれを探し当てると、激しく絡み取り吸い上げ、もはや痛みすら覚えるほどだ。
左手一本で幸村の両手首を掴み、薄茶色の髪が乱れる頭のすぐ上で堅く固定する。
舌で口内を舐りつつ、右手は幸村の体を這わせる。愛撫と呼ぶには荒々しくはあるが、
首筋、鎖骨、胸板、徐々に滑らせると、幸村の体温が一層上がり、吐息が熱を含むよう変わる。
あれ程顔面蒼白で恐怖に震えていたはずが、今では頬を紅潮させ、薄く開いた唇から覗かせる小さな紅い舌が艶めかしい。
胸の突起を弄ってやると、ビクンと体を跳ねさせ、瞳の潤みが増す。
淫鬼の本能ってヤツなのか、体は悦んでいるのが着物の下の股間の膨らみから哀れなほど見てとれる。
うるうると見つめてくるその小豆色の瞳は、まるで自分を深みへと誘っているようで、
政宗は、己を支配していた怒りがすっかり失せ、ただただ目の前の愛しい存在を悦ばせることのみ考えている自分を認めた。
拘束していた幸村の両手を解放し、瞳に優しく口付ける。

「アンタほんと…エロいな…」
「…ッはははは…破廉恥…ッ…///」
「…どっちが」
くくっと喉を鳴らすと、政宗は頭を徐々に下げ、舌と唇で幸村の全身を愛撫する。
「ひあ…ッ…やッ…」
肌蹴た着物から、幸村の白い肌が露わになり、政宗は丁寧にそこに紅い痕を残していく。
まるで自分のモノであるという証拠を残すかのように丁寧に。鮮やかに。
幸村は、あまりの羞恥から政宗の体を撥ね退けてしまいたかったが、本能の部分で体がそれを拒んでいた。
もちろん幸村にこういった性の経験はなかったが、淫鬼の本能が、この先にある抗えない快楽を知っていた。

いつの間にか解かれた下帯。
敏感になった自身がひやりとした外気に晒されていることに気付き、幸村は戦慄した。
「あ…ッ……見るな…ッ…」
慌てて上半身を起こそうと腹に力を入れた瞬間、体中にビリリと電撃が走った。
「………ッ!?」
すっかり起ち上がっていた幸村自身が、政宗の口内にすっぽり収められている。
舌を裏筋をなぞるように這わせ、頭を上下に動かし敏感な箇所を攻め立てる。ときに緩やかにときに激しく。
気持ちよくて政宗の頭の動きに合わせ、自然と腰が律動する、そんな自分が情けなくてボロボロと大粒の涙を零す幸村。
(なぜ、なぜ、斯様なこと…)

「――――…ッ…!」
幸村が一度目の絶頂を迎えるのに、そう時間は掛からなかった。
ゴクリと喉を鳴らし、政宗はふぅと息をつく。
「…ッ…!?…の、の、飲ん…!?」
「俺の精気、ちっとは返してもらわねぇとな」
ニィと笑んだ政宗は、そのまま気をやられたばかりの幸村を休ませることなく、後ろの秘部へと指を伸ばす。
「…あッ…や…なにを…ッ…?」
初めて感じる異物感に幸村は、身を捩りその奇妙な感覚から逃れようとする。
政宗がそれを許すはずもなく、開いた幸村の股に自分の体躯を割り込ませ、蕾への愛撫を続ける。
「…すげェ…鬼の体ってやつは、こっちも濡れるように出来てんだなァ」
政宗が指を中で動かす度にくちゅくちゅと淫靡な水音が響く。その都度幸村には耳を塞ぎたい衝動が走る。
「本当にVirginかどーかも怪しくなってきたもんだ。一体何人の男、ここに咥えこんできた?」
「なっ……ちが…政宗殿っ…!?」
「…俺が確かめてやるよ」
「…ッ!?」
先ほどまで自分の内を掻き回していたものとは明らかに桁違いの質量のモノが入口にあてがわれている。
政宗は己自身を数回手で扱き、一気に腰を進めてきた。
「…ッああああぁぁあぁッ……!」
裂けるような痛みが幸村の全身を貫く。悲鳴とも喘ぎともとれる声が幸村の口から絶え間なく吐き出される。
「HA…奥まで入った…アンタの体、しっかり男を咥え込むように出来てんじゃねーか。淫乱だな」
「そ、そのようなッ…ことッ…」
幸村は肩で息をしながら、否定の言葉を絞り出す…が、強く反論することは能わなかった。
結合部からじわりと甘い疼きが拡がってくるのを感じていたからだ。
「…きっつ…アンタの中…燃えるように熱い…………動くぜ…」
「ッあぁぁ…」
政宗は何度か腰を大きくグラインドさせ、その動きが一層激しくなったとき、
幸村は自分の内で政宗自身の変化を感じていた。

「…くっ…も…限界……中に出す…」
「ッ!?…そん…なっ…!…直接…貴殿の精を…体内に吐き出されてはっ…某ッ…某ッ…おかしくなって…しまうッ…」
「…HA」政宗は速まる腰の動きを止めない。そして掠れた声で幸村の耳元で囁く。
「…こっちはとっくにアンタでおかしくなってんだ」
「あっ…政宗っ…殿っ…政宗殿っ…」
「…幸村ッ」
「ああああぁあぁぁッ…」


内と外で、二人は同時に達した。


****
一番鶏の鳴き声がする。

背中から幸村を抱き竦める形で横になっていた政宗は、もう夜明けか、と名残惜しそうに体を起こす。
幸村はぐったりとしていて起きる様子もない。
紅い点が残る白い背中を撫でながら、独り言のように呟く。
「…わりぃ…ちっとばかりヒートアップし過ぎちまった…」
「…」
「しかしやっぱりアンタ初めてだったんだな」
政宗は、生娘のように恥じらいながらも妖艶だった昨夜の幸村の姿を想起し、自然と笑む。
「…」
返事はない。余程消耗したのだろうか、政宗は幸村の顔を覗き込む。
幸村の顔は真っ赤に熱を持ち、玉のような汗を浮かべ、はぁはぁ苦しそうに小さく息をしていた。
「…幸村…?」
やっと異変に気付いた政宗は、幸村の頬を数回軽く叩き呼びかける。
「…!幸村ッ!幸村ッ!?」

(体内が…焼けるように熱い…この熱は俺の…いや…政宗殿の熱…まるで紅蓮の炎に焦がれているようだ…)

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